留置権(法定担保物権)

【重要度C】
他人の物の占有者がその物に関して生じた債権を有する場合に、その債権の弁済を受けるまでその物を引渡さずに留置することができる権利(民295)。
留置権は、このように弁済を間接的に強制する担保物権である。目的物は、動産(例えば時計店が修繕代金の支払いまで時計を留置する)でも、不動産(例えば、明渡し義務を負う借家人が家屋の保存のために支出した修繕費用の償還を受けるまで占有を継続する。または、借地人が借地借家法13条の建物買取請求を行ったとき、その代金の支払いがあるまで建物の占有を続け、それに必要な敷地の使用を継続する)でもよい。
① 留置権者は、その保存に必要な使用をする場合を除き、債務者に無断で、留置物を使用したり、収益することはできません
② 留置権は、目的物を留置することによって弁済を促す担保物権であり、目的物をお金に換えて弁済を受けることは認められていない。したがって、留置権には物上代位性はありません
③ 家屋を留置している場合には、その家屋に住むことは保存に必要な使用として承諾がなくても許されますが、その使用したことによって得た利益(賃料相当額)は、不当利得ということで返還しなければなりません(判例)。
④ 留置権は登記できないが、登記がなくても第三者に対抗することができる