1.基礎と地業(じぎょう)

① 地業(地盤の改良)の工法は、基礎の種類によって異なるが、一般的なものとして、地面をある程度の深さまで堀り、その溝に砂や石を並べて押して固めて、その上に砂利とコンクリートを流し込んで固める。

② 基礎は建物を支えるもので、コンクリートでできている。基礎は地業の上に設置し、基礎にかかる重さを地業に伝える。
イ.ベタ基礎ビルなどやある程度軟弱な地盤に使われる。建物と同じ位の広さの基礎を地業の上に設置したもの。
ロ.布(ぬの)基礎…一般的に木造の建物に使われる。逆Tの字のような断面をしているもの。
ハ.杭(くい)基礎…基礎から伸びた杭を地表から相当深い硬い地盤に到達させ建物を支える。地盤の弱い土地に用られる。

③ 建築物には、異なる構造方法による基礎を併用してはならないただし、建築物の構造、形態および地盤の状況を考慮した構造計算または実験によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りではない

2.木造建物

とことん覚える!重要度B

(1) 木造在来軸組工法
 木で作られた柱やはりなどの軸材と屋根を組み合せる構造。
① 構造耐力上主要な部分である柱で、最下階の部分に使用するものの下部には、土台を設けなければならない。ただし、当該柱を基礎に緊結した等の場合は、この限りではない。
 土台は、一体の鉄筋コンクリート造または無筋コンクリート造の布基礎に緊結しなければならない。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が10㎡以内の物置、納屋その他これらに類する建築物については、例外的に土台を基礎に緊結しなくてもよい(同法施行令40条ただし書)。
② 階数が2以上の建築物におけるすみ柱またはこれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においては、この限りではない。
③ はり、けたその他の横架材には、その中央部附近の下側に耐力上支障のある欠込みをしてはならない
④ 筋かいは、その端部を、柱とはりその他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。
 筋かいには、欠込みをしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ない場合において、必要な補強を行ったときは、この限りではない
⑤ 構造耐力上必要な部分である壁、柱および横架材を木造とした建築物にあっては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階にそれぞれ壁を設けまたは筋かいを入れた軸組をつりあいよく配置しなければならない。
⑥ 構造耐力上必要な部分である継手または仕口は、ボルト締、その他これらに類する構造方法により、その部分の存在応力を伝えるよう緊結しなければならない。
 ボルト締には、ボルトの径に応じ有効な大きさと厚さを有する座金を使用しなければならない。
※1 継手とは、木材を一方向につなぐ場合、木材と木材がしっかりかみ合うように、接合する部分に凹凸をつけ、それぞれをはめ込むこと。
※2 仕口とは、木材を直角にあるいは、ある角度につなぐこと。
⑦ 木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない(令49条)。
⑧ 構造耐力上必要な部分である柱、筋かいおよび土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。

(2) 木造建物を耐震的にするための方法
① 筋かい(柱と横架材を結ぶ補強材で欠込みをしてはならない。)、方杖(垂直材と水平材の隅角に入れる補強材で建物の変形を防ぐのに有効)、火打(水平材が直角に交わる所に入れる補強材)などの斜材を多くとる
② 壁は階下に多くとり、広い部屋は2階につくり、階上と階下の壁は同位置がよい。壁に厚みのある面材を打ちつけるのも有効である。
③ 屋根材は軽量のものを使用し、下地に緊結する。
④ 土台は、アンカーボルトで布基礎に緊結する。
⑤ 施工時、仕口及び継手はできるだけ金物で補強する。
⑥ 木造建築物の壁は、構造用合板等の厚みのある面材を打ちつけたり、筋かいを設けることにより、地震による水平力に対する耐力を増加させることができる。
⑦ 軟弱な地盤の敷地に木造建築物を建築する場合には、布基礎を鉄筋入れとすることにより、耐震性を向上させることができる。
※ 木造建築物の構造設計用の荷重として、地震力より風圧力の方が大きく設定される場合がある。
(3) 枠(わく)組壁工法(ツーバイフォー工法
 枠組壁工法とは、主として、2インチ×4インチの板材で組まれた枠組に構造用合板等を打ちつけた床及び壁により建築する工法である。かつて断面が2インチ×4インチの角材を主に使用していたことからツーバイフォーと呼ばれるが、現在の日本の規格では、38㎜×89㎜となっている。この工法は組み立てた壁の力を利用して建物を支える。施工期間が比較的短い
(4) 木 材
① 建築物に用いる木材は、乾燥しているほど強度が大きくなる。
② 継手、仕口は、木材の接合方法であり、強度が重視される(施行令47条)
③ 筋かいは、地震力や風圧力などの水平荷重によって、柱と横架材で組み立てられた軸組の変形を防ぐために柱と柱の間に設けた斜材のことである。筋かいの種類には、圧縮筋かいと引張筋かいがあり、引張筋かいには、径9㎜以上の鉄筋を使用する場合がある。
④ 集成材は、単板等を積層したもので、圧縮・変形・割れなどが生じにくくなるため、大規模な木造建築物の骨組みにも使用される。
⑤ 木材に一定の力をかけたときの圧縮に対する強度は、繊維に直角方向よりも繊維方向のほうが5~10倍強いとされている
⑥ 心材は、髄に近い部分をいい、色調が濃く、赤身材ともいう。辺材は、樹皮に近い部分をいい、材質はやわらかく、色が薄く、白太材ともいう。辺材は心材に比して、節が出やすく、腐朽しやすく、虫害が発生しやすいといわれている。
⑦ 建物の強度を保つため、構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、筋、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならないとされている(同法施行令41条)。
(5) その他の用語
① 通し柱とは、建築物の1階と2階の柱を一本材で通したものである。
② 管柱とは、建築物の1階と2階の柱がはり等で区切られているものである。
③ 筋かいとは、変形を防止するため、四角形の軸組の対角線に渡す木材である。
④ 棟木(むなぎ)に平行している横架材を「桁(けた)」といい、その方向をけた行方向という。
⑤ 上部の荷重を支える横架材を梁(はり)といい、そのはりの長さをはり間といい、その方向をはり間方向という。
⑥ 構造用合板とは、建築物の構造耐力上主要な部分に使用する合板である。
⑦ 耐力壁とは、地震などによる水平力及び建物の自重などによる鉛直力に抵抗する壁である。
⑧ 間仕切壁とは、建物の屋内の空間を仕切るための壁である。
⑨ 見付面積とは、はり間方向又はけた行方向の鉛直投影面積で、立面図に見える面積に相当する。
⑩ 小径とは、一般に柱材の断面は正方形であるが、長方形の断面の木材を柱に使用する場合はその断面の小さいほうの径で柱の太さを示すこと。
⑪ ラーメン構造とは、柱とはりを直方体に組み合わせたもので、接点は剛に接合される。
⑫ 壁式構造とは鉄筋コンクリート構造の一つで、壁と床の面材を組合せて構成した構造。