本人の追認

① 無権代理人のした代理行為は、本人の保護のため本人に効果が帰属しない。しかし、本人にとって常に不利なものとは限らないので、本人はこれを追認して効果を自分に及ぼすことができる(113条1項)。
② 追認又はその拒絶は、原則として本人から相手方に対してしなければならない(113条2項)。
※ 追認により、契約は有効に確定し、追認の拒絶により契約は無効に確定する。

本人の追認

③ 本人の追認があると、この代理行為は、はじめにさかのぼって、有効だったものとして扱われる。したがって、契約時に遡及して本人に効果が帰属する。ただし、はじめから有効だとすると第三者の権利を害することになる場合は効力はさかのぼらない(116条)。

1.本人が無権代理人に対して追認した場合でも、相手方がこれを知れば、本人に代理行為の効果が確定的に帰属し、相手方は取消権を行使できなくなる。知らなければ取消権を行使できる。

本人が無権代理人に対して追認した場合

2.追認拒絶が無権代理人に対してなされた場合には、相手方の知不知にかかわらず無効に確定する。またいったん追認を拒絶した以上、本人は追認できない。

追認拒絶が無権代理人に対してなされた場合

3.本人が無権代理人を相続したときは、本人の立場で追認を拒絶してもよい(図a)が、無権代理人が本人を単独で相続したときは本人の立場で追認を拒絶することは許されない(図b)。したがって、売買契約は相続によって当然に有効になり、契約を履行しなければならない。ただし、本人の追認拒絶後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない(判例)。

本人が無権代理人を相続したとき