時効についての一般的なきまり

① 時効による権利の取得又は消滅は、時効が完成したときではなく、その起算日に遡ります(民法144条)。
※1.たとえば、昭和57年3月10日に善意かつ無過失で占有を開始した者は、起算日11日から時効期間が始まり、平成4年3月10日に取得時効が完成する。この場合、その者は昭和57年3月11日から所有権を有していたことになる。
② 時効の援用
時効によって利益を受ける者が、その利益を受ける旨の意思を表示することを援用という。裁判所は、当事者が時効を援用(主張)しなければ、時効を理由として裁判することができない(145条)。
※ 消滅時効の完成後に債務者が承認した場合には、債務者は時効完成の事実を知らなかったとしても、完成した消滅時効を援用することはできない
③ 時効の利益は、時効完成前に放棄することはできません(民法146条)時効によって利益を受ける者があらかじめ(時効の完成前に)、時効によって生ずる利益は受けないと意思表示することはできません。たとえば、金を貸すときに、「将来時効を主張しない」という約束を借主にさせてもこの法律行為は無効です。完成した時効についてはできる。
④ 時効の中断事由(進行中の時効期間が無意味になる)

時効は、一定の事実状態が継続するものですから、この事実状態を覆すような事実が生じたときには時効は進行しえないことになります。これを時効の中断といいます。
そして、時効が中断した場合には、中断事由の終了したときから再び新しく時効の進行が開始することになります(民法157条)。