従業者名簿の備付け

          
業者はその事務所ごとに従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは閲覧に供しなければならない(48条3項、4項)。
ポイント
1.案内所等には名簿を備える義務はない。
2.名簿の保存期間は、最終記載日から10年間

● 従業者名簿の記載事項
従業者証明書を発行した者については、すべて従業者名簿に記載すること。
イ.氏名・住所
ロ.従業者証明書番号
ハ.生年月日
ニ.主たる職務内容
ホ.取引士であるか否かの別(専任・一般を問わず
ヘ.事務所の従業者となった年月日
ト.事務所の従業者でなくなったときは、その年月日
電子ファイル化された名簿上に表示する方法でも行える(帳簿も同じ)
ファイルや磁気ディスクに記録されている事項をプリントアウトしたもの、またはディスプレイ上に表示する方法で閲覧に供することもできる。

帳簿の備付けの義務

          

業者は事務所ごとに業務に関する帳簿を備え、取引のあったつど所定の事項を記載しなければならない。帳簿は毎事業年度末日に閉鎖し、閉鎖後5年間(当該宅建業者が自ら売主となる新築住宅に係るものにあっては、10年間保存しなければならない。

ポイント
1.案内所等には帳簿を備え付ける義務はない。
2.帳簿の記載事項は①取引年月日 ②取引に係わる宅地建物の所在・物件の面積 ③取引態様 ④取引の相手方等の氏名・住所 ⑤取引に関与した宅建業者の商号名称 ⑥宅地建物の概要等 ⑦売買代金等・賃料等 ⑧報酬・特約事項等 ⑨新築住宅引渡年月日
3.業者は、取引の関係者から請求があっても、帳簿を閲覧させる義務はない

標識の掲示等の義務(重要)

とことん覚える!重要度A

※原則として標識はどこでも掲示する!
⑴ 宅建業者は次のイ.ロの場所ごとに公衆の見易い場所に宅建業者たる旨の標識を掲示しなければならない。
イ.事務所(本店・支店)
ロ.案内所など、次のa~eの場所には標識を掲示しなければならない
   a.継続的に業務ができる施設で事務所以外の場所
   b.10区画以上の一団の宅地または10戸以上の一団の建物の分譲を行う場合の案内所
   c.他の業者が行う10区画以上の一団の宅地または10戸以上の一団の建物の分譲の代理または媒介を行う場合の案内所
   d.展示会等を実施する場所(催し会場等)
   e.10区画以上の一団の宅地または10戸以上の一団の建物の分譲を行う場合の場所

ポイント
1.案内所等で、契約または申込みを受けない場合でも、標識の掲示は必要である。
2.案内所等で契約または申込みを受ける場合には、専任の取引士を1名以上設置しなければならないが、従事する者の人数に関係なく1名以上設置すれば足りる。
※1.同一物件について、売主である宅建業者及び媒介又は代理を行う宅建業者が同一の場所において業務を行う場合、両業者が共同で設置する案内所においては、いずれかの宅建業者が専任の取引士を設置すればよい(通知)。
※2.不動産フェア等複数の宅建業者異なる物件を取扱う場合には、各宅建業者ごと標識の掲示・専任の取引士を設置するものとする(通知)。
3.本店は常に業法上の事務所にあたるので、業を営まなくても標識の掲示必要。
4.標識の掲示は上記b及びcに該当する場合は、テント張りや仮設小屋においても必要である。
※1 これらの場所の標識には、クーリングオフができる旨を明記することになっている。
※2 事務所に掲示される標識と、事務所以外の場所(いわゆる案内所等)に掲示される標識は、様式や記載事項が異なります。

案内所等についての届出義務

            
⑴ 上記のa~dの場所で契約、または申込みを受ける場合には次の4つを届出なければならない。

 ① その所在地
 ② 業務内容
 ③ 業務期間
 ④ 専任の取引士の氏名

※1.業務を行う期間は原則最長1年とし、引き続き業務を行う場合は改めて届出を行う必要がある(通知)。
※2.複数の専任の取引士を設置する場合、実際に専任の取引士として勤務する者1人を届け出れば足りるものとする(通知)。
⑵ 届出先はその業務を開始する10日前(中10日の意味)までに書面によって免許権者と業務場所の所在地の都道府県知事に届出をしなければならない。
・大臣免許の場合は、案内所等所在地の知事&同知事を経由して国土交通大臣に届出)

ポイント
1.都道府県知事免許を受けた宅建業者が案内所等を設置する場合
  免許権者および案内所等の所在地を管轄する都道府県知事双方に直接届出を行う。
2.国土交通大臣の免許を受けた宅建業者が案内所等を設置する場合
  案内所等を設置する場所の所在地を管轄する都道府県知事同知事を経由して国土交通大臣に届け出る。
3.専任の取引士の住所については届出不要
4.上記a~dの場所でも、契約または申込みを受けない場合には、届出不要
5.他の業者が行う一団の宅地・建物の分譲の代理・媒介を行う際の案内所は、当該案内所を設置する代理・媒介業者が、標識を掲示したり、専任の取引士を設置したり、届け出を行うのであり、自ら売主となる宅建業者が行うのではないことに注意。また、代理・媒介業務を行う際の案内所の標識には、売主の商号・名称・免許証番号も記載しなければならない。ただし、分譲を行う所在場所には売主が自己の標識を掲示する。