重要度C
業者間取引には適用しない   
 割賦販売の場合の所有権留保の禁止〔注1〕…宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地建物割賦販売を行った場合には、宅地又は建物の引渡しまでに〔宅地又は建物の引渡しまでに代金の額(消費税相当額を含む)の10分の3を超える金銭〔注2〕の支払を受けていない場合は、代金の額(消費税相当額を含む)の10分の3を超える金銭の支払を受けるまでに〕、登記等の売主の義務を履行しなければならない。ただし、買主が所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための不動産売買の先取特権もしくは抵当権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、登記等の売主の義務を履行しないでよい(所有権の留保が禁止されない)。

〔注1〕宅地又は建物の割賦販売において、売主である宅地建物取引業者は、宅地又は建物を買主に引渡した後においても、未受領の残代金を保全するため、所有権名義を買主に移さないで留保する場合があるが、このように宅地建物取引業者がいつまでも所有権の留保をしていると、宅地建物取引業者に倒産等の事故が発生したときには買主に不測の損害を与えるおそれもあることから、宅地建物取引業者がある程度の代金の支払を受けた後は、所有権の留保をすることを禁止することとした。

〔注2〕10分の3を超える金銭となっているので、10分の3ちょうどの金銭の支払を受けている段階では、まだ所有権の留保ができる。

  割賦販売の場合の譲渡担保の禁止〔注1〕…宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地建物割賦販売において、宅地又は建物を買主に引渡し、かつ代金の額(消費税相当額を含む)の10分の3を超える金銭の支払を受けた後は、担保の目的で宅地又は建物の所有権を譲り受けてはならない(同法43条2項)。
〔注1〕譲渡担保売主がいったん買主に所有権を移転しておきながら、再び残りの代金債権の担保として再びその物件の所有権を譲り受けることをいう

  提携ローン販売の場合の所有権の留保と譲渡担保の禁止…提携ローン販売
〔注1〕においても、割賦販売の場合と同様に、宅地建物取引業者は買主が融資の全額を返済するまで所有権の留保をする場合があるので、実質支払済額が代金の額(消費税相当額を含む)の10分の3を超えた後は、所有権の留保譲渡担保とを禁止することとした(同法43条3項・4項)。
〔注1〕提携ローン付宅地建物販売…宅地建物の買主が銀行等の金融機関から宅地又は建物の買入代金を借り入れ、その借入金を割賦で返済する場合(宅地又は建物の引渡し後1年以上の期間にわたり、2回以上に分割して返済する場合に限る)に、売主である宅地建物取引業者が借入先の銀行に対して買主の借入金の返済を保証している方式による宅地又は建物の売買をいう(同法43条3項・4項)。