1.契約とは

契約は、当事者間に「売ろう」「買おう」、「貸そう」「借りよう」という対立する意思表示が合致すること、すなわち合意があることによって成立する法律行為です。

たとえばAが自己所有の不動産をBに「売りましょう(申込)」といい、Bが「買いましょう(承諾)」といった場合には、そこで契約が成立することになります。

民法では、原則として「契約は申込と承諾の意思表示の合致により成立する」つまり当事者の合意で成立する契約です。

このように契約書を交さなくても成立する契約のことを「諾(だく)成(せい)契約」といいます。

売買契約や賃貸借契約等があります。

 

2.債権・債務(権利と義務)

売主Aと買主Bとの間で不動産の売買契約が成立すると、売主Aはその不動産をBに引渡さなければならないし、買主Bは売買代金をAに支払わなければなりません。

すなわち、売主Aは引渡し債務(義務)を、買主Bは代金支払い債務(義務)を負うことになります。

又、売主AはBに対して売買代金支払い請求権(権利)をもち、買主BはAに対して不動産の引渡し請求権(権利)をもちます。

すなわち「引渡せ」「代金を支払え」という債権(請求権)が発生します。

なお、不動産の売買契約においては、売主の債務として引渡しのほかに所有権移転登記に応ずる債務を負うことになります。

したがって買主には、所有権移転登記の請求権(債権)が発生します。

※ 所有権移転登記とは、法務局に売主の所有権名義で登記されている不動産を登記簿上、買主の所有権名義に移転する登記です。

 

3.契約自由の原則

民法の基本原則では「原則として、契約の当事者は、契約の内容を自由に定めることができる」としています。

ただし、当事者間で契約した以上はそれを守らなければなりません。

したがって特約付の契約をすることもできます。たとえば「建物をリホームして引渡す」とか、「残代金の支払いは融資が得られた時に支払う」等です。